アウトプレースメント業

ここ数年でいくつの企業が破綻しただろうか。ニュースになるような大企業や銀行、また最近記憶に新しい姉歯建築士関連の事件での関係各社や名も無いベンチャー企業などその数は計り知れないものである。日本経済はバブル崩壊により暗い時代が続き2001年12月には完全失業率が5.6%、完全失業者数は337万人にまでいたった。そこで日本社会はリストラクチャリングによる希望退職、事業再構築に伴う人材再配置、経営統合や合併などによる拠点統廃合など日本経済復活のため様々な策を凝らしてきた。そんな時代であるからこそこのアウトプレースメント業界は発展してきたのである。このように言うと少し聞こえが悪いが事業自体はより多くの人を活かすため、さらには日本経済の発展の一翼をになっているといっても過言ではないほど社会性の高いものであることは知っていただきたい。  ではこのアウトプレースメント業界について筆者なりの見解を述べていこう。 アウトプレースメントは単なる再就職支援ではなくカウンセラーによる再就職希望者のこれまでの仕事や培ったスキルや経験、ライフプランなどをヒアリングし必要に応じて履歴書の書き方や面接の受け方、またスキルアップのための再教育をすることなど対象者の置かれた立場や料金の発生どころがなどが違うということはあれど人材紹介のサービスに近いものがある。その最大の違いはビジネスチャンスだろう。人材紹介は転職希望者の増大や企業の有望人材の不足などがその時となるが、対するアウトプレースメント業は企業の破綻やリストラなどがメインのビジネスチャンスとなる。しかし日本経済の低迷も落ち着き復活への兆しが見えてきた今日ではその機会は人材紹介に対し魅力を感じなくなってきているのではないだろうか。ビジネスとしてただ黙って企業がつぶれるのを待つのでは商売にはならない。ではどのようなサービスを展開することでビジネスチャンスを広げることが出来るのかを筆者の調査からまとめよう。  まずアウトプレースメントのメインサービスであるリストラ対象者の価値を再整理・再教育し、カウンセリングや研修を通じて人材の意識改革と自信を持たせるというアプローチの方法。これはなにも人員整理をしなくとも自社内の人事・研修・教育などにも活用可能なのだ。すなわち、組織活性化という観点からアウトプレースメント業が介入していくことがビジネスチャンスを広げる第一歩なのだ。ではその介入の方法だが一つ目としては、社内の意識改革等のツールとして活用してもらうことだ。これは前述の通りではあるが社内教育の一環として行なっていけるサービスである。二つ目には社員個人のスキルやこれまでの担当プロジェクトなどの情報を整理しデータベース化することにより、各社員のスキルなどの情報を再確認することができ、さらには人材の再配置(部署の移動等)を行なう際にもミスマッチのないよう人材を適材適所に配置することが可能となる。  このようにアウトプレースメント業では人材ビジネスならではの「人(企業)と人(登録者)の間に立つ」仕事だけではなく、対企業に対しコンサルティング業として介入していくことが可能なのである。しかしこの介入方法のサービス内容がアウトプレースメント業の最大の問題点でありカギにもなりうるものなのではないかと私は考えている。  理由としては、その分野にはコンサルティング会社というものが存在し企業内の効率化や社員のモチベーション向上を狙った人事システムなど提供しているプロがいることが問題点なのである。すでにサービスを市場に提供している社会的信頼の高い会社とたった今からサービスを提供しだす会社ではまず勝ち目がないことは目に見えている。そこでアウトプレースメント業としてはサービスの差別化をどのように図ることが出来るかが発展のカギとなってくるのではないだろうか。例えば個人向けのキャリアサポートシステムの構築などはどうだろう。それならば既存の再就職社向けの再教育を少し作り直すことで容易に提供していくことが出来るのではないだろうか。これは既存のシステムを利用することで初期投資は限りなく抑えることが可能であるのが魅力だろう。さらには今後も加速していくであろう転職希望者やキャリアアップを望む人材の増加などによる人材の流動化はアウトプレースメント業ならずとも人材ビジネスには強い追い風となっていくのではないかと私は考えている。
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